★春分の日
今日は月曜日ですが 昨日の祝日「春分の日」(3月21日)の振り替え休日です。皆様も3連休を有効にお過ごしのことでしょう。ご家族で、お墓参りに出かけられた方もおられるのではないでしょうか。
終戦後の「祝祭日の改廃」により制定された「国民祝日に関する法律」によりますと、「春分の日」は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」と定められています。 でも 一般には「春のお彼岸」として考えている人たちが多いのではないでしょうか。
ところで、彼岸という言葉は、古代インド語のパーラミター(波羅蜜多)が語源で、意味は「彼の岸へ至る」ということで、煩悩や迷いに満ちたこの世を「此岸」というのに対し、悟りの世界・仏の世界を「彼岸」と言うのだそうです。
日本では、昔(平安時代 大同元年(806年)が最初?。)から、「彼岸」という言葉を「あの世」と解釈して、亡くなられた人々を供養するという意味から お彼岸には ご先祖の供養のために、お墓参りをする風習がありますが、その理由の一つは、太陽が真西に沈むことから、西方極楽浄土の信仰と結びついた日本独自の仏教行事とされ、お墓参りをするようになった様です。
「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように お彼岸は季節のくぎりです。「春分の日」は、秋の「秋分」とともに一年に二回の、昼と夜との長さが同じ日、つまり、太陽が真東から昇り、真西に沈む、最も自然の調和のとれた日なのだそうです。
私は一昨年エジプトを旅行した際に訪れた「アブ・シンベル大神殿」(新王国のB.C.1250年ごろラムセス2世により建造された)では、「年に2回(春分と秋分の日)日の出とともに神殿の奥まで日の光が届き、神殿の奥の神像を明るく照らす。」と説明を聞き、さすがに、天文学の発達した太陽神信仰の強い古代のエジプトならではの遺跡だと感じたことを思い出しました。
この遺跡は、アスワンハイダム建設に際して湖底に沈む事がわかり、1964年〜1968年 ユネスコが中心になって各国から資金(4千万ドル)を集め、もとの場所より60m高い場所へと引越しを行ったことでも知られており、世界文化遺産保護活動のきっかけとなったといわれています。
同じ春分に、古代エジプトでは真東から昇る太陽を崇め、一方古来 日本では真西に沈む太陽を見て、西方極楽浄土での死後の救済を願っています。 日の出と日の入りの違いはあるものの、大自然をたたえる気持ちには変わりなく 連綿と現在まで引き継がれているのですね。
田村 順造